鎖国していたからと云って,江戸時代の人々が不幸だったとは云わない。だが,進化のない,足踏みだけの状態を強いられていた部分もあったと考えたい。技術,学問においては,その影響はあまりにも大きかった。なにも知らない人は,知らないまま幸せに生きていたのだろうが。いま,この国の携帯電話事情は,それに似ている。
quote:ノキア社はノキア6630を日本市場向けに発表した。年内にボーダフォン向けにボーダフォン702NKとして販売し,ノキアからはどのキャリアでも利用できるスタンダードモデルとして来年初等に販売する。ボーダフォン向けモデルではボーダフォンライブのサービスが利用可能。スタンダードモデルの価格はオープンプライスだが,ほかのノキア製端末と同レベルの価格帯になるとのこと。
ひと月ほど前にボーダフォンからノキア6630を冬モデルとして出すと発表され(ITmedia Mobileの記事),ノキアの端末が欲しいと云っていた人が喜んでいたのをおぼえている。ノキア7600(過去記事)がいいよとわたしが云っても,値段が高いと一蹴するような人には,インセンティブ価格でないと相手にされない。だが,わたしはきちんと機能などが発表になるまでは待った方がよいと思っていたのだが,実際,その通りになってしまったようだ。ボーダフォンモデルとスタンダードモデルの比較表がノキア社のページにあるが,ボーダフォンモデルはSIMロックがあるのは仕方ないとして,Eメールソフトと音楽プレイヤーがなくなっている。つまり,自由にPOP/IMAPのEメール受信ができなくなり,パソコンから転送したMP3の再生もできないようだ(もしかしたらJavaアプリなどで可能にする方法があるかもしれないが)。
わたしがノキア7600でもっとも使っているのは,MP3・AACを再生できる音楽プレイヤーだ。ブルートゥースのヘッドセット(過去記事)でずっと音楽を聴きながら,電話がかかってきたらすぐに着信を受けられる。果たしてボーダフォンが音楽プレイヤーを取り除かせたのかはわからないが,他国で人気を得ている大きな特徴をあっさりと潰すのは,やはりこの国の携帯電話事情の病理を表しているようだ。携帯電話で自由にパソコンから転送した音楽を聴かれたら着うたが売れなくなると云う,この国の音楽に関わっている人間の変態ぶりによるものとしか考えられない。島国根性丸出しで,囲い込んで金をむしり取ることしか考えることができない,そんな人間どもがいる下で,本当にこの国で携帯電話を使っている人たちは,幸せだといえるのだろうか? 6630はボーダフォンモデルはたぶん2〜3万円,スタンダードモデルは4〜6万円ぐらいになるだろう。どちらを買うのが正解か,たくさんの人に考えて欲しいが…。
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